研究分担者 |
持田 灯 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00183658)
徳田 昌則 大学評価・学位授与機, 構・評価事業部, 教授 (30006027)
吉野 泰子 日本大学短期大学部, 建築学科, 教授 (90269499)
張 晴原 筑波技術短期大学, 建築工学科, 教授 (70227346)
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研究概要 |
夏期(8月)にウルムチ,重慶及び昆明においてアンケート調査及び実測調査を行った。対象住宅は,いずれも都市部の集合住宅であり,アンケート調査では各都市ともに,同意を得た住宅約100件に質問用紙及び液晶温度計を配布し,実測調査では各都市ともに10件の住宅で室内環境測定を行った。また,これまでの調査データに基づき作成した住宅モデルを用いて数値計算による暖冷房負荷の検討を行った。その結果,以下の点を明らかにした。 1.アンケート調査により上記3都市の都市集合住宅における住宅特性,住まい方,冷暖房等の設備状況,満足度などの実態を把握した。 2.実測調査により上記3都市の都市集合住宅における室内温湿度環境の実態を把握した。 3.ウルムチにおけるエアコン設置率は,居間,寝室ともに20%を下回っており,昆明では調査対象住宅にエアコンの設置はなかった。一方,重慶では居間が約74%,寝室が102%である。 4.夏期の室温に大きく影響するエアコンの使用について,重慶では1日2回,日中(12〜15時)と夜の団らん時(18〜22時)に稼動率のピークがあり,明け方近くまで比較的高い稼働率が持続する。50%以上の住宅で冷房が行われる期間は7月上旬〜9月中旬である。 5.夏期において,ウルムチ及び昆明の住宅では,エアコンを使用しなくても居室温湿度はASHRAEの快適範囲及び中国室内空気質量標準付近に分布しており,比較的快適であると言える。一方,重慶では冷房の使用状況によって居室温湿度(24〜36℃,40〜70%RH)は様々であり,居室温湿度が快適範囲に近い住宅と高温で多湿の住宅がある。 6.地域暖房が利用される厳寒・寒冷地域における暖房用エネルギー消費は膨大であり,厳寒地域(ハルピン等)の1戸あたり平均年間負荷は寒冷地域(北京等)の約2倍,夏暑冬冷地域(上海等)の約4.6倍にもなる。
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