研究分担者 |
神近 牧男 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (20032310)
谷 宏 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (80142701)
井上 京 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (30203235)
松村 伸二 香川大学, 農学部, 助手 (60165868)
脇水 健次 九州大学, 大学院・農学研究科, 助手 (00240903)
|
研究概要 |
2002年3月9日から20日に研究代表者,井上,松村,脇水の4名が,中国河南省洛陽市,鄭州市,山東省済南市,利津県の調査を行い,黄河下流域の農業地帯の水利用状況の資料収集,黄河水利委員会水利部担当者からの情報収集を行った。1998年以降黄河断流が発生していないこと,その結果,下流部ではある程度農業用水の確保が可能になったことが判明した。調査の結果,1997年まで水不足が頻発した原因として,黄河の統一的な水管理が行われておらず,水の価格が安い上流部において水を浪費したことがあげられる。1998年以降,政府による黄河の水利権の把握,それに伴う三門峡ダム,小浪底ダムの完成によるところが大きい。 同時に,黄河流域の降水量の分布の資料収集を行った。聞き取り調査に関しては,降水量減少との意見が多く聞かれたが,実測値に基づいて判断すると,一般的な気象変動の範囲であると思われる。従って,黄河の水資源問題は主として水利用形態に注目して議論すべきであるという結論に至った。 しかし,黄河の水の90%が農業用水として利用されているため,今後も黄河の水利用を考える場合,農業に利用される水に注目していくことが必要である。政策として,農業用水路からの漏水による水損失の防止に努力しているが,同時に灌漑面積の増大も見られるので,黄河の水資源は今後も予断を許さない状況にある。 研究代表者と神近の調査により,黄河中流部(黄土高原および内蒙古)における水資源も同様に枯渇傾向にあることがわかった。これを定量化するためGMSを用いた降水量の推定方法を検討している(山際他,2001)。この地域では,水資源以上に表土層の浸食防止が優先課題であり,黄河全域の水資源の管理方法と異なった管理法の提案が必要である。
|