研究分担者 |
井上 京 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (30203235)
松田 友義 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (70159151)
今 久 千葉大学, 園芸学部, 教授 (60153706)
神近 牧男 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (20032310)
王 秀峰 北海道大学, 大学院・農学研究科, 講師 (30301873)
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研究概要 |
2002年8月に王が黄河下流部(山東省禹城市),11月に研究代表者,井上,松田が黄河上流部(銀川市〜蘭州市)に行き現地調査を行い,以下の結果が得られた。 1.地利用について:NOAAによるNDVIの変化に関する調査から,植被量の変化と流量に相関がありかつ周期性を持っていることがわかった。今後,流量と農作業形態の関係の調査が望まれる。 2.流量について:上・中流域からの流出量が大きく減少している。また,中流域での降水量の漸減,上・中流域での利水量の増加が認められた。これらが黄河の流況に影響を及ぼしていることは明白である。また自然的要因による損失が黄河の流況に及ぼす影響も大きい。下流の水利用は上流,中流からの流出に大きく制約を受けており,流況に即した水利用をせざるを得ない状況にある。 3.水利用について:計画的な水利用が行われていない。黄河委員会で全国各地に割り当てているようであるが,割当量をどのようにして決定しているのかは不明だった。水利費(水利用料金)の決定メカニズムも定かではない。取り敢えず都市化が進展する現在,都市住民の水需要が増え続けることが考えられる。また産業用水の利用も増加することが考えられる。 農業用水としてどの程度確保できるのか,どの程度確保するつもりなのかは,恐らく政策的に決定されるものと思われるが,その際の根拠が不明だった。水利用の経済的価値を示す指標のようなものが必要と考えられるが,現地で示されたのはかんがい用水がどの程度無駄なく使われたか,という利用率のみで,漏水でいくら失われたかといういわば技術的指標にしか過ぎない。このような指標に基づいて水利費(水価)が算定されないと,効率的な水利用は不可能となる。
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