研究課題/領域番号 |
13575004
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菊地 永祐 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (00004482)
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研究分担者 |
竹原 明秀 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (40216932)
鹿野 秀一 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教授 (70154185)
工藤 純一 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (40186408)
太田 宏 東北大学, 生命科学研究科, 助手 (10221128)
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キーワード | NOAA画像データ / 西シベリア / チャニー湖沼群 / 湖水面積変動 / 内陸性塩性湖 / 植生タイプ / 炭素・窒素安定同位体比 / 食物連鎖 |
研究概要 |
西シベリアに位置する塩水湖チャニー湖沼群の湖水面積変動について、NOAA衛星画像による解析を進め、さらにそのGround Truthを得るため現地調査を行った。まず、1999年〜2001年までのNOAA受信データから対象範囲を切りだし、幾何補正および輝度温度補正などの画像処理を施して、NOAA AVHRRのチャンネル 1〜5画像・擬似カラー画像および正規化植生指数を画像化したデータセットを作成した。また、画像解析で必要な各種ツールの作成、任意の閾値からチャニー湖の面積算出ができるソフトウエアの開発も行った。NOAA画像データからみると、チャニー湖沼群は4月上旬までは積雪のため湖面は判別できなかったが、雪解け後の4月下旬に湖水面積が最大になり、その後6月下旬まで面積は減少して、最大面積の約3/4になった。7月から10月上旬までは湖水面積はほぼ一定で変化が見られなかった。春先から初夏の湖水面の現象は、主に小チャニー湖と大チャニー湖南部の間の水路部分と、大チャニー湖北部と東部の間にある島周辺で顕著であった。現地のGround Truthの結果、これらの地域にはヨシ原が広がっていた。湖水面積は、雪解け水の流入により4月下旬まで増加し、その後は水の蒸発によるだけでなく、冬期に倒伏したヨシが成長し、水面を覆うことによっても減少することが推測された。現地調査では、チャニー湖の環境や生物・食物連鎖構造の調査も実施した。その結果、チャニー湖周辺地域では、植生タイプとして森林群落の1型、低層湿原植生の3型、塩性湿地植物群落の1型、乾性草原植生の1型、耕作地雑草群落の1型が確認された。また、炭素・窒素安定同位体比より食物連鎖構造を調べた結果、チャニー湖では河川流入部の淡水域から奥部の高塩分域にかけて、プランクトンやベントスの炭素・窒素安定同位体比が上昇しており、塩分の異なる水域において食物連鎖の起点となる有機物に違いあることが示唆された。
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