研究分担者 |
竹原 明秀 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (40216932)
鹿野 秀一 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教授 (70154185)
工藤 純一 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (40186408)
太田 宏 東北大学, 生命科学研究科, 助手 (10221128)
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研究概要 |
西シベリアに位置する塩水湖チャニー湖沼群の湖水面積および沿岸植生分布変動について、NOAA衛星画像による解析を進め、さらにそのGround Truthを得るため現地調査を行った。そのため本年度はチャニー湖の面積算出に加え、正規化植生指数の算出を行った。まず、1999年〜2002年までのNOAA受信データから対象範囲を切り出し、NOAAのAVHRRのチャンネル1と2からNDVI指数を求め画像データを作成し、そこから水面と沿岸植生を分けた。チャニー湖沼群の湖水面積の季節変化は、雪解け後の4月下旬に湖水面積が最大になり、その後6月下旬まで面積は減少して、最大面積の約3/4になり、7月、8月は湖水面積は最小になる。その後、9月から10月にかけて湖面積は増加した。この季節変化のパターンは年によって大きくは変わらないが、湖面積の変化量はその年の天候によって影響された。現地のGround Truthから、湖面積の変化は雪解け水の流入や蒸発だけでなく、ヨシの成長によっても影響を受けることが確認された。チャニー湖の一部に湖水面積の変化が現れやすい地域があることが発見され、この地域は環境変動をモニターするのに適した場所と考えられる。本年度も、チャニー湖の環境や生物、食物連鎖構造の現地調査を行った。その結果,昨年確認された7群落型に加え,低層湿原植生の1型,乾性草原植生の2型,耕作地雑草群落の2型を追加することができた。さらに湖岸から湖岸までの560mの間の植生がヨシ群落,湿性草原,乾性草原,耕地雑草群落,牧草地と微地形に沿って配列していることを確認した。また、炭素・窒素安定同位体比より食物連鎖構造を調べた結果、チャニー湖では河川流入部の淡水域から奥部の高塩分域にかけて、浮遊系食物連鎖の起点となる懸濁有機物の炭素・窒素安定同位体比が上昇しているため、懸濁有機物からの食物連鎖上に位置する動物プランクトンの安定同位体比も高くなっていた。
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