原生動物繊毛虫類のゾウリムシ(Paramecium caudatum)には、Syngenと呼ばれる遺伝的に隔離されたグループが存在する。この研究では下記を明らかにすることを目標にする (1)P.caudatumを採集し、syngenの世界分布図を作成し、大陸の移動時期とsyngen進化が密接に関係しているかどうかを明らかにする。また、先祖型syngenのルーツを明らかにする。 (2)Holosporaを持つP. caudatumを採取し、その宿主がどのsyngenに属するかを調べ、HolosporaがいつP. caudatumと共生関係を成立させたかを明らかにする。 (3)Holosporaなしで生存できないほど関係が親密になったHolosporaとP.caudatumが出現しているはずという仮定のもとに、野外採集する。 今年度に得られた成果を下に記した。 (1)12月に、藤島と道羅は、オーストラリアのケアンズ近郊の熱帯雨林で、ゾウリムシの野外採集を行い、P caudatumを3クローンと、P. aureliaを13クローン得た。 (2)藤島は、盛岡市で採取されたP. bursariaの大核に新種と思われるHolosporaを発見した。新種の可能性について継続して調べている。 (3)藤島と海外研究協力者のSergei Fokinは、上海で採集されたParameciumを新種と判定し、Paramecium schewiakoffiと命名した。
|