研究概要 |
本年度は特にアジサイ属を重点課題に設定して,材料の収集と解析を進めた,この一年間で学会発表のレベルにまで研究を進展させることが出来た(平成14年3月17日 日本植物分類学会第1回大会(東京:国立科学博物館,口頭発表L23).アジサイ属は大きくは2系統に分類されるが,その内の1系統が台湾から南西諸島,日本列島内で種分化を起こしたことが提示された.これは本研究課題を申請した際に仮説として挙げていた,東アジアを起源と舞台にした種分化が実際に起きていたことが証明されたことになる. また,本研究の申請内容にも提示してあったオウレン属(Coptis),ブナ属(Fagus)に加えてアセビ属(Pieris)についても材料の収集の段階を越えて,解析の段階に入った.これら3属については次年度夏期には学会発表レベルにまで到達できる見込みである.アセビ属については既に明瞭な結果が得られており,北米種が最も原始的であり,次いで東アジア中国の種群,さらに台湾と南西諸島を経由して日本列島本州の種が派生する結果が提示された. 材料収集と現地調査については,本年度はアメリカ合衆国へ研究メンバーが2回赴いた.また,ハーバード大学David Bufford教授との話し合いを進めて,新たにイワカガミ属(Shortia)についても協力してサンプリングと解析を進めていくことになった.アメリカ側で材料採集について積極的な協力が得られたことから,次年度は中国に集中して研究を進める体制をとることにした.
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