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2002 年度 実績報告書

東アジア日華植物区系を中心にした北半球温帯域における植物の多様性形成過程の解析

研究課題

研究課題/領域番号 13575011
研究機関京都大学

研究代表者

瀬戸口 浩彰  京都大学, 総合人間学部, 助教授 (70206647)

研究分担者 徳岡 徹  京都大学, 総合人間学部, 助手 (90303792)
百原 新  千葉大学, 園芸学部, 助教授 (00250150)
遊川 知久  国立科学博物館, 筑波実験植物園, 研究官 (50280524)
キーワード植物地理 / 東アジア / 日華植物区系 / アジサイ属 / オウレン属 / ホトトギス属 / アセビ属
研究概要

本課題ではアジサイ属、ホトトギス属、オウレン属、アセビ属、コハクラン属、サルスベリ属、ギシギシ属について分子系統と地史データと総合した分布域形成について研究をまとめた。新生代第三紀末から第四紀にかけて繰り返された氷期・間氷期の中で、北半球温帯域における植物の分布は大きな影響を受けている。オウレン属では温帯生のグループが東アジアと北米の間で大きく隔離を受けた一方で、亜寒帯生のグループではベーリング海峡やアリューシャン列島の陸橋を最終氷期(約2万年前)に至るまで相互に移動し、遺伝子流動が可能であった形跡をDNA分子データで確認した。また、アジサイ属など5属では、中国南部〜台湾〜琉球列島〜日本列島に至る島嶼系に於いて島嶼間分化がDNAレベルで進んでいた。また、氷期・間氷期における島嶼系の隔離と陸橋の形成に伴う分布域の北上と南下、島内部における高標高域への高地への逃避と低地への分布域回復の形跡を確認することが出来た。東アジアと北米のどちらの地域に原始的な種が分布しているかの問題については両方のケースが見いだされた(東アジア:アジサイ属、ホトトギス属、オウレン属;北米:アセビ属)。東アジアの種が原始的である場合には、その再基部に位置するのは中国雲南省から四川省にかけて分布する種であった。東アジアに広域に分布する種の場合には、そのDNAレベルのギャップは雲南省西部の数本の大河が狭いエリア内で南北に分断する場所にあることを見いだした。これは日華植物区系要素の研究では全く提唱されてこなかった新発見である。研究当初は日本列島と中国大陸の間を想定していただけにこの結果は想定外の発見であった。材料採集の開始から2年間という短期間であったが、平成14年11月に琉球大学で行われた国際シンポジウム、ならびに平成15年3月に行われた日本植物分類学会第2回大会では上記の研究6演題を発表した。

  • 研究成果

    (12件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (12件)

  • [文献書誌] Yukawa, T., Miyoshi, K., yokoyama, J.: "Molecular Phylogeny and Character Evolution of Cymbidium (Orchidaceae)"Bull.Nath.Sci.Mus. Tokyo. 28. 129-139 (2002)

  • [文献書誌] Yukawa, T.: "Cymbidium wadae (Orchidaceae)"Ann. Tsukuba Bot. Gard.. 21. 135-138 (2002)

  • [文献書誌] Yukawa, T., Stem, W.L.: "Comparative vegetative anatomy and systematics of Cymbidium (Cymbidieae : Orchidaceae)"Bot. J. Linnean Soc.. 138. 383-419 (2002)

  • [文献書誌] Kokubugata, G., Yukawa, T.: "Cytotaxonomical studies of orchidaceae from Vanuatu and its adjacent regions : II"Ann. Tsukuba Bat. Bard.. 21. 25-29 (2002)

  • [文献書誌] Yukawa, T.: "Cymbidium wadae (Orchidaceae)-A new species from Thailand"Ann. Tsukuba Bot. Bard.. 21. 135-138 (2002)

  • [文献書誌] Yokouchi, Y., Ieda, M., Inuzuka, Y., Yukawa, T.: "Strong emission of methyl chloride from tropical plants."Nature. 416. 163-165 (2002)

  • [文献書誌] Kurashige, Y., Etoh, J-I., Hana, T., Takayanagi, K., Yukawa, T.: "Sectional relationships in the genus Rhododendron (Ericaceae) : evidence from matK and tmK intron Sequences"Plant Syst. Evol.. 228. 1-14 (2001)

  • [文献書誌] Nakagawa, M., Setoguchi, H: "Chioroplast DNA polymorphisms and phytogeography of Fallopia japonica (Polygonaceae) in japanese alpine area"J. Plant Res.. 115(supplement). 27-28 (2002)

  • [文献書誌] 瀬戸口浩彰: "日本の島嶼系におげる植物地理"分類. 1. 3-17 (2001)

  • [文献書誌] 藤木利之, 百原新, 安田喜憲: "日本の間氷期堆積物に含まれるサルスベリ属Lagerstroemia花粉化石の形態"植生史研究. 10. 91-99 (2001)

  • [文献書誌] 百原新: "東アジアの第四紀植物地理変遷とカトマンズ盆地ボーリングコアの植物化石"月刊地球. 24. 333-338 (2002)

  • [文献書誌] Tokuoka, T., Tobe, H.: "Ovules and seeds in Euphorbioideae (Euphorbiaceae)"J.Plant Res.. 115. 361-374 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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