研究課題/領域番号 |
13575013
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
岡本 宗裕 鳥取大学, 農学部, 助教授 (70177096)
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研究分担者 |
金 衝坤 国立遺伝子研究所, 進化遺伝研究部門, COE外国人研究員
蘇 智慧 JT生命誌研究館, 研究員 (40396221)
八木 孝司 大阪府立大学, 先端科学研究所, 教授 (80182301)
大澤 省三 名古屋大学, 理学部, 名誉教授
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キーワード | オサムシ / 分子系統進化 / 形態多様化 / タイプスイッチング / カブリモドキ / ミトコンドリア / 中国 |
研究概要 |
平行放散進化は、はじめはオオオサムシ亜属で見いだされた現象だが、その後カブリモドキ亜属をはじめ、クビナガオサムシ亜属やクロナガオサムシ種群でも同様な現象が見いだされている。このことから、平行放散進化はオサムシの多様化の過程で一般的にみられる現象なのではないかと推察している。最近我々は、カブリモドキ亜属においても同様の現象が見られることを見いだした。この現象はアオカブリモドキとヤンコースキーカブリモドキのいう一見して別種と判断できる種間で起こっている。本研究は、このカブリモドキ亜属に見られる形態多様化の過程を再現し、「平行放散進化説」と「タイプスイッチング仮説」を検証することを目的としている。 今年度は、中国四川省北部と隣接する甘粛省南部でカブリモドキの採集を行った。これらのサンプルに海外共同研究者の白が採集した韓国南西部のサンプル、研究協力者の永幡が採集したロシア極東地域のサンプルを加えND5遺伝子による系統解析を実施した。その結果、カブリモドキ亜属は、大きく3つのグループに分かれることが明らかとなった。各グループ内の種構成を見てみると、ほとんどの種が1グループに属している一方で、アオカブリモドキとヤンコフスキィカブリモドキはどのグループにも見られ、容易には解釈できないような系統関係を形成していた。そこでITS1領域の塩基配列を調べ核のDNAによる系統解析を試みたが、ITS1は同一個体内でもリピートユニット間で多型が見られるためダイレクトシーケンシングでは一部のサンプルでしか塩基配列を特定することができなかった。また塩基配列を確定できた領域においてもほとんど変異がみられなかったため、系統解析を実施することは困難であった。しかし塩基の挿入や欠失の位置から考えると、少なくともアオカブリモドキに関しては単系統をサポートするような結果が得られた。
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