研究課題/領域番号 |
13575017
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研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
篠田 謙一 佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (30131923)
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研究分担者 |
北川 賀一 長崎大学, 歯学部, 助手 (70186237)
中橋 孝博 九州大学, 大学院, 教授 (20108723)
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キーワード | ペルー / プレ・インカ時代 / 古代DNA / ミトコンドリアDNA / D-100P領域 |
研究概要 |
本年度は、はじめにリマにあるペルー国立人類学考古学歴史学博物館に所蔵されているマチュピチュ遺跡から出土した人骨を調査した。この人骨は1916年にEatonらによって発掘されたもので、発掘後アメリカに持ち去られていたものの一部が、その後ペルーに返還されたという経緯を持つ。人骨は収蔵庫に未整理の状態で保管されていたので、それを整理し、個体数などを確認した。若干の個体に関しては形態学的な調査を行った。次にペルー北部のトルヒーヨにある「月の神殿」から出土した人骨の調査を行った。トルヒーヨ大学が収蔵する人骨17体について、DNA分析用の試料を採取した。また、この付近の大遺跡であるエル・ブルホから出土した人骨資料についても調査を行った。30体の頭蓋骨と歯牙の計測を行い、その全てからDNA抽出用のサンプルを採取した。更にこれより北のチクラヨにあるワカ・シアルーペ遺跡から出土した人骨五体の計測とサンプル採取を行った。DNA研究用のサンプルは全てペルー政府の正式許可を得て日本に持ち帰った。南部のナスカの国立博物館では収蔵している人骨の数・時代について調査した。 すでに採取していた[月の神殿]のサンプル56体からDNAを抽出し、ミトコンドリアDNAのD-loop領域の一部をPCR法を用いて増幅し、その塩基配列を決定した。配列が決定できた37体は全て同一のハプロタイプを示した。これはアメリカ先住民の約半数が属するタイプであるが、他のタイプが出現しなかったことは特徴的である。今年度採取した[月の神殿]のサンプルは保存状態が悪く、DNA分析ができたのは三体のみであった。この配列は前者とは異なっていた。エル・ブルホのサンプルは10体で塩基配列が決定できた。こちらはアメリカ先住民が持つ四つのハプロタイプが全て出現した。現在、残りのサンプルについての解析を進め、形態学的なデータとの統合を行っている。
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