研究課題/領域番号 |
13575017
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
篠田 謙一 国立科学博物館, 人類研究部, 室長 (30131923)
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研究分担者 |
加藤 克知 長崎大学, 医学部, 教授 (70018703)
北川 賀一 長崎大学, 大学院, 助手 (70186237)
真鍋 義孝 長崎大学, 大学院, 助教授 (80131887)
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キーワード | アンデス / ミトコンドリアDNA分析 / 開頭術 / パラカス・ナスカ / モチェ・シカン / ウルバンバ / 歯冠計測 |
研究概要 |
本年は研究計画の最終年なので、主として日本国内でこれまで採集したサンプルの分析作業とその取りまとめを行った。ただし、トロフィーヘッドの研究では、現地での聞き取り調査の結果、47体のトロフィーが一度に埋葬されていたナスカのパルパ地方にあるセロ・カラポ遺跡の試料がリマの国立考古学人類学歴史学博物館に収蔵されていることが明らかとなったので、形態学の研究者1名が現地に出向いて10日間にわたって計測等の研究を行った。 4年間の研究で、ペルー北海岸では紀元前後から11世紀までの遺跡、アンデス地域ではインカ時代の遺跡、そして南部の海岸地域では紀元前後から7世紀にかけての遺跡を調査して、合計で2百体以上の人骨の研究を行うことができた。得られたサンプルに対し、形態学的な研究からは、各集団の歯の形態学的な特徴の抽出、頭蓋骨の遺伝的な要素の研究、そして頭蓋変形と開頭術の時代的な変遷についての解析を行った。また、DNA分析では、抽出したDNAを用いてPCR法でミトコンドリアDNAのD-loop領域とcoding領域の一部を増幅した。この塩基配列データ解析することによって、遺跡内部での血縁関係の追求と、周辺遺跡との系統的な関係についての考察を行った。 それらの知見と考古学的な証拠とを総合的に判断した結果、基本的には北海岸と南の海岸及び山岳地域とは、集団の構成に違いがあることが明らかとなった。また、アンデスのウルバンバ川周辺の遺跡の解析からは、現代の先住民につながる人々がこの時代から居住していたことが明らかにした。さらに北部海岸地域での文化の変遷には、特にヒト集団の移動などは伴っていないことが示唆された。これらの研究成果は、学術雑誌や学会発表だけではなく、平成16年11月に国立科学博物館が主催した新館グランドオープンの記念講演会「発掘とDNAから探る古代アンデス社会」という一般向けの講演会でも発表した。
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