研究課題/領域番号 |
13575018
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
堀江 武 京都大学, 農学研究科, 教授 (90181528)
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研究分担者 |
横沢 正幸 独立行政法人, 農業環境技術研究所・地球環境部, 主任研究官
白岩 立彦 京都大学, 農学研究科, 助教授 (30154363)
中川 博視 石川県農業短期大学, 生物生産学科, 講師 (90207738)
松井 勤 京都大学, 農学研究科, 助手 (70238939)
本間 香貴 京都大学, 農学研究科, 助手
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キーワード | 国際研究者交流 / 中国:タイ:フィリッピン / イネ / 温暖化 / 高CO_2 / 気候変動 / 収量 / 影響予測 |
研究概要 |
1.稲作気象データベースの構築 稲の生育・収量に及ぼす気象の影響解析に必要な日別気象のデータベースを構築した。日本150地点、他のモンスーンアジア地域77地点のデータをMicrosoft Access2002によってデータベース化し、任意のフォーマットで出力可能な構造とした。さらに、日射量の測定値のない地卓での日射量を雲量と湿度、もしくは目照時数をもとに推定する方法と精度を明らかにした。 2.モンスーンアジアの稲生産変動の実態解明 稲作技術の進歩を反映して、モンスーンアジアのイネ収量、生産量とともに、その年次変動は1960年代以降減少を続けてきたが、1999年以後拡大傾向に転じたことが明らかになった。これにはインドの生産量の変動が大きくかかわっており、エルニーニョ年で少雨による生産量の減少、ラニーニャ年で多雨による増加というパターンが認められた。さらに、インドでのコメ生産の変動が、収量のみならず収穫面積のそれによっても生じていることがわかり、近年の異常気象は作付や収穫の放棄をもたらすほどの影響を与えていると推察された。一方、中国の生産変動はインドのそれと相反傾向にあり、このことがモンスーンアジア全体の変動を緩和させていることが示された。それゆえ、この両コメ生産大国に同時不作が生じた場合、モンスーンアジアのコメ生産に極めて深刻な影響が及ぶと推察された。 3.水稲の生育・収量予測モデルGEMRICEの開発と温暖化影響の予測 水稲の生育、収量形成の諸過程における遺伝子型-環境相互作用を考慮した、生育・収量の気象的予測モデルGEMRICEを開発し、これによって多様な水稲品種のアジア各地での生育・収量が妥当な精度で予測できることを示した。モデルシミュレーションから、大気CO_2濃度倍増下での3℃以上の温度上昇は、温帯北部を除き、アジアのコメ収量を減少させる方向に働き、特にその程度は日本型品種で大きいことが示された。
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