研究課題
基盤研究(B)
近年の気象変動および予測される温暖化気候がモンスーンアジアのイネ生産に及ぼす影響についての研究から次の成果が得られた。(1)稲作期(6〜8月)の温暖化傾向が西日本で顕著に認められ、1960年以降、最低気温が1.5℃、最高気温が約1℃それぞれ上昇し、イネの収量に負の影響を及ぼしつつあることがわかった。(2)インドおよびタイ南部の稲作期の降水量の変動はエルニーニョ南方振動(ENSO)と密接に連動しており、そのためエルニーニョ年の不作、ラニーニャ年の豊作という傾向が認められた。さらに近年インドの収量変動は増大傾向にあり、これがモンスーンアジア全体のコメ生産の不安定化をもたらしていた。しかし中国の収量変動はインドと逆の動きを示しており、モンスーンアジア全体のコメ生産変動をマスクする働きが認められた。それゆえ、両国のコメ生産の同時不作が生じた場合、極めて大きなインパクトがアジア全体に及ぶと推察された。(3)イネの生育収量形成の生理生態的・物理的諸課程をモデル化して積上げ、環境および品特性をもとに、かんがいおよび天水田水稲の生育・収量を予測するそれぞれのモデルを開発し、モデルがアジア各地における実際のイネの生育・収量を妥当な精度でシミュレートできることを示した。かんがい水稲についてのモデルシミュレーションから、大気C0_2濃度倍増下での3℃以上の温暖化は、温帯北部を除き、アジアのコメ収量を減少させる方向に影響を与え、特にその影響は日本型水稲で大きいことを示した。
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