研究課題
基盤研究(B)
1990年代、先進諸国では森林環境の保護に向けた法的な体制整備が行われ、それに伴って木材生産の構造的変化が展開した。本研究ではそうした事例としてアメリカ北西部、アメリカ南部、スイス、ニュージーランドを取り上げ、それぞれ90年代の政策的変化の様相と素材生産の構造的変化の実態を押さえ、環境時代における木材生産展開の基本方向を明らかにした。アメリカ西部では、90年代、環境問題によって国有林の木材生産量が10分の1に削減されたこと、無垢の木材の利用から加工木材への転換が進んだこと、外国からの木材輸入によって国内市場が圧迫されたことなどが要因となって、製材工場・素材生産業者の激減、木材生産の請負単価の低下、大手木材企業のM&Aによる森林取得、素材生業者の請負先に対する従属的地位への転化、といった構造的な反応がもたらされた。また西部の中でもオレゴン州では森林施業法が規制的な方向で強化されたことも加わって、素材生産業者間で、皆伐を中心とする比較的大手の業者と間伐を主体とする小規模業者へと階層的な分解が見られた。この対局に位置づけられるのがスイスの林業であった。スイスでは生産の対象となる森林資源が成熟しており、一定の規模以上の公共的な森林を森林経営と見なしている。素材生産はそうした森林経営が自ら伐採活動を行うという形で行われているのが一般的で、伐採については連邦森林法により皆伐が禁止されている。林業経営(森林経営+素材生産)は基本的に赤字であるが、森林の維持管理や生産技術・経営技術の継承が公共的な視点から組織的に行われているのが特徴である。
すべて 2004 2003 2002
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 5件)
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