研究課題/領域番号 |
13575025
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野渕 正 京都大学, 農学研究科, 教授 (50026499)
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研究分担者 |
長谷川 尚史 京都大学, 農学研究科, 助手 (70263134)
岡田 直紀 京都大学, 農学研究科, 助教授 (40335302)
藤田 稔 京都大学, 農学研究科, 教授 (60026599)
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キーワード | 熱帯樹木 / 年輪年代学 / 形成層 / フェノロジー / 水ポテンシヤル / 土壌含水率 / 国際研究者交流 / タイ:マレーシア |
研究概要 |
平成14年度においては、13年度にタイ・マレーシアに設定したフィールドにおいて、1年間の現地調査と試料の解析を行った。実績概要では、タイにおける調査を中心に述べる。熱帯樹木における年輪年代学を確立するためには木部形成の1年内での季節的特徴を明らかにすることが是非とも必要である。この観点に立ち、(1)デンドロメーターによる直径成長測定、(2)形成層木片の観察による木部形成の活性度の判定、(3)刺針法による木部放射方向成長の直接的測定、を行った。その結果、4樹種とも雨季に木部形成が盛んで、乾季においては成長が低下または休止した。形成層帯の観察から木部形成の休止期を推定したところ、樹種間で差があった。たとえば、Hopea ferreaとHopea odorataを比較すると、前者においては、雨季における木部形成の開始は後者より遅れたが、乾季に入ってからの成長の停止の次期は前者より遅くなった。また、年輪年代学を確立する上で重要となる年輪構造との関連で、成長輪構造を観察したところ、4樹種とも雨季の終了時期ないしは乾季の開始時期に、成長輪が形成されていた。しかし、1年内に1本以上の成長輪が形成されている場合も多く、さらに検討する必要があると判断した。これら木部形成と水分状態との関係を調べるために、(1)土壌含水率、(2)葉の水ポテンシャル等を測定した。その結果、全体の傾向としては、水ポテンシャルの高いときに木部形成が進行する傾向を示した。ただし水ポテンシャルそのものは樹種間で相違があり、たとえば、H.ferreaでは乾季に低下した水ポテンシャルが雨季に入って回復するのに時間を要した。このことが、雨季においてH.odorataより木部形成が遅れることの理由であると考えられた。平成15年度においてはさらに同様の調査を継続し、木部形成の年内リズムと年輪構造との関係について総括する予定である。
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