研究課題/領域番号 |
13575029
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
苅和 宏明 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (70224714)
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研究分担者 |
有川 二郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10142704)
水谷 哲也 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (70281681)
高島 郁夫 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (30002083)
岩崎 琢也 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (90146027)
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キーワード | ハンタウイルス / 腎症候性出血熱 / げっ歯類 |
研究概要 |
本研究ではげっ歯類を病原巣動物とする人獣共通感染症のうち、ハンタウイルス感染症とダニ媒介性脳炎を対象に主にげっ歯類を中心に疫学調査を行い、両感染症の極東ロシアにおける感染状況を明らかにすることを試みた。 まず、極東ロシアのウラジオストック周辺で捕獲されたげっ歯類についてハンタウイルスの抗体検出を試みたところ、この地域ではセスジネズミとハントウアカネズミが主要な病原巣動物になっていることが明らかになった。特に、ハントウアカネズミが保有するウイルスは、この地域で死亡した腎症候性出血熱患者から検出されたウイルスと遺伝子配列が約95%以上も類似することから、本げっ歯類が人に強毒型のハンタウイルスを媒介することが初めて明らかにされた。また、ハバロフスク周辺でもげっ歯類におけるンタウイルス感染の疫学調査を行ったところ、タイリクヤチネズミとセスジネズミに抗体が検出された。セスジネズミからはウイルス遺伝子も検出され、ハバロフスクで腎症候性出血熱に罹患した急性期患者から検出されたウイルスと非常に近縁であることが判明した。従って、ハバロフスクではセスジネズミがハンタウイルスの媒介動物になっていることが明らかになった。 また、ダニ媒介性脳炎ウイルスの北海道分離株分離株であるOshima 5-10株と極東ロシアの分離株であるSofjin-HO株の様々な生物性状を比較した。Oshima株はSofjin株に比べ培養細胞中で小さなプラックを形成すること、ウイルスの増殖が1/100しかないこと、RNAの合成も遅いことなどが明らかになった。
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