研究課題/領域番号 |
13576002
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
鳥山 寛 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教授 (00108359)
|
研究分担者 |
藤田 修一 長崎大学, 歯学部, 助手 (00181355)
千馬 正敬 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (60216562)
熊取 厚志 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (60244092)
|
キーワード | 分子生物学 / 悪性腫瘍 / 発癌ウィルス / ウィルス遺伝子 / タイ |
研究概要 |
平成15年度は研究代表者がタイに赴き、13、14年度に継続して子宮頚癌、陰茎癌、肝細胞癌を主に、悪性腫瘍の疫学および組織学研究とB型(HBV)、C型肝炎ウィルス(HCV)の遺伝子分析をおこなった。本年度は収集した陰茎癌を主な材料にヒトパピローマウィルス(HPV)の感染実態と感染HPVの遺伝子亜型などを検索した。また、脂肪沈着の程度がHCV慢性肝炎での肝細胞癌発生に与える影響に関しての組織学的検索、バーキットリンパ腫の組織学的特徴である「星空像」とリンパ腫細胞内におけるエプスタイン・バーウィルス(EBV)の細胞周期との関連性についても検索をおこない、以下の結果をえた。 1)70例の陰茎癌を検索した結果、その53%にHPVの感染が見られ、遺伝子亜型の内訳は13例がHPV-6型、1例がHPV-22型であった。現在遺伝子検索を続行中である。2)183例のHBV陽性血清を調べ、その遺伝子亜型の頻度はC型93%、B型6%、B+C型1%であり、現在論文作成中である。3)126例のHCV陽性血清を調べ、3a型33%、6型31%、1a型14%、1b型13%、3b型6%、1c型1%の結果を得、そのほか、新たな遺伝子亜型を示す2例を発見し、現在その詳細な遺伝子配列を検索中である。4)肝内脂肪沈着はHCV慢性肝炎患者で肝細胞癌発生の危険因子となることを明らかにし、それぞれ論文発表した。5)バーキットリンパ腫を材料に、その組織学的特徴である「星空像」発現の機序を調べ、Bリンパ球に感染したEBVが融解期に陥った際に出す何らかのサイトカインがマクロファージを誘引し、誘引されたマクロファージがBリンパ球を貧食することによって間隙が生じ、それが「星空像」形成の機序であることを明らかにし、現在論文印刷中である。
|