研究課題/領域番号 |
13576008
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研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
吾妻 健 高知医科大学, 医学部, 教授 (40117031)
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研究分担者 |
平井 啓久 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (10128308)
嶋田 雅暁 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (70124831)
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キーワード | アジア / 住血吸虫 / 共進化 / COI / ITS2 / 28S / 塩基配列 / 分子系統樹 |
研究概要 |
本研究の目的の一つは日本住血吸虫の起源を探ることであるが、これは、当然ながらSchistosoma属住血吸虫の起源にも密接に関連する。これまで、Davis(1980,1992)によりアフリカ起源説が提唱されてきたが、最近のSnyder & Loker(2000)や平井ら(2000)の研究によりアジア起源説が浮上してきた。本年度は、この目的のため、アジアに分布し、象に特異的に寄生するBivitelobilharzia nairiのリポソームRNA遺伝子の28Sの部分塩基配列を検討した。この種はSchistosomatidae科の住血吸虫であるが、これまでほとんど研究されてこなかった。今回、スリランカでは、はじめて象から得られたものである。1200塩基対の28Sの部分塩基配列を決定し、近隣結合法と最大節約法を用いて系統樹解析を行ったところ、この種はSchistosoma属のすべての種及びOrientobilharzia属に近縁であるが、哺乳類に寄生し、アメリカ大陸のみに分布する、HeterobilharziaとSchistosomatiumにはかなり離れているという結果が得られた。Bivitelobilharzia nairi、Schistosoma属、Orientobilharzia属はすべてアジアに分布することから、今回の28Sの結果はSnyder & Loker(2000)や平井ら(2000)のアジア起源説を支持することになった。
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