研究概要 |
1999年に日本で起こったサルモネラ中毒で分離されたSalmonella Oranienburg株はNaClによるosmotic stressに抵抗性を示したが、この株をマウスでpassageすると感受性を示すようになった。viable but non-culturable (VNC)のサルモネラ株は、NaClによるosmotic stressにより増殖能を回復し病原性が増す事が分かった(FEMS Microbiol.Lett.212,2002)。また、VNCのサルモネラ株は通常のマウスでは体外に排除されるが、モルヒネ処理したマウスでは強い病原性を示した。モルヒネ処理マウスは、VNCサルモネラ株のバイオアッセイに有用である(J.Infect.Dis.186,2002)。 STECに感染した羊のSTEC排菌を15ヶ月にわたって調査した。その結果、STECは羊に容易に定着して長期間にわたって排菌されるため、羊はSTECの保菌動物として重要である(J.Vet.Med.Sci.64,2002)。 Citrobacter freundii臨床分離株より、コレラ毒素及びLTのBサブユニットとhomologyを示す遺伝子を分離し、この遺伝子とhomologyがある遺伝子を大腸菌からも発見した(Infect.Immun.70,2002)。 Helicobacter pyloriの産生するVacAを胃癌患者の胃液から直接検出する系を確立し、胃粘膜の損傷はVacAの量に相関する事が分かった(Helicobacter 7:281-286,2002)。更に、VacAのreceptor (RPTPβ)欠損マウスでは、VacAを投与しても胃癌の発生が見られない事より、RPTPβを介したsignalingがVacAによる胃癌発症に重要である事を見い出した(Nature Genetics:33,2003)。
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