研究課題/領域番号 |
13576016
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
森田 公一 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (40182240)
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研究分担者 |
井上 真吾 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (00346925)
津田 良夫 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 室長 (20207393)
長谷部 太 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (20253693)
只野 昌之 琉球大学, 医学部, 助教授 (80179712)
熊取 厚志 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (60244092)
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キーワード | デング出血熱 / 東南アジア / デングウイルス / チクングニヤウイルス / 熱帯病 |
研究概要 |
アジアを含む熱帯地域で公衆衛生的に最重要の蚊媒介性ウイルス感染症であるデング熱・デング出血熱の出現・拡大要因をさぐるためにアジア主要国においてウイルス、媒介蚊、出血熱患者の病態を2年間総合的に調査した。本調査においてベトナム、フィリピン、シンガポール、インドネシア・マレーシア・バングラデシュの各国からデング患者血清と媒介蚊である熱帯シマカの卵を採取し熱帯医学研究所に保存するとともにウイルス分離と媒介蚊のウイルス感受性試験を実施した。また熱帯現地においは患者末梢血をデング特異的単クローン抗体を用いてフローサイトメトリ解析を行うと供にデング感受性のサルについても血清疫学調査を実施した。ウイルスと媒介蚊の分子レベルでの解析は現在も進行中であるが、現時点で以下の事が明らかとなった。1)媒介蚊であるネッタイシマカのウイルス感受性には地域によってまた、感染させるウイルスの株によって明らかな差異がある、2)重症度の異なる患者から分離されるウイルスには遺伝子上の変異が認められる。3)ウイルスPrM蛋白の1アミノ酸が変異しただけでデングウイルスのヒトでの標的細胞の1つと考えられるヒト樹状細胞への感染性に10倍以上の差が生じ、その結果として樹状細胞から分泌されるIL12、TNF-αなどのサイトカインの分泌量に100倍以上の差が発生すること、4)感染早期の患者末梢血中のB細胞分核にデングウイルス抗原の存在を今回、世界ではじめて証明し、デングウイルスヒトでの標的細胞が実は広いスペクトラムを持つのではないかと思われること5)サルにおいてもデングウイルスの感染が証明されサルでのウイルス感染環とヒトの流行との関与を今後調査する必要があることなどである。これらの結果から、現段階ではデング出血熱の出現拡大に関してはウイルス側の変化により、蚊における感受性とヒトにおける病原性が増した可能性を今後さらに詳細に解析する必要がある。
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