研究課題
基盤研究(B)
東南アジアにおけるデング出血熱の出現・拡大の原因を明らかにする為に東南アジア各国でデングウイルスを分離し、患者のウイルス感染細胞の解析さらに媒介蚊のネッタイシマカの調査を実施して1)病原体、2)宿主、3)ベクターの3つの要因について検討した。この結果、タイ国においてはデングウイルス拡大に関連すると考えられる重症型デング2型ウイルスと媒介蚊の感受性の組み合わせが明らかになった。またフィリピンでは国全体でデング2型ウイルスの遺伝子型のシフトが観察された。さらにベトナムにおいては新たなデング4型ウイルスの遺伝子型の出現が確認された。ベトナムとフィリピンで実施した患者末梢血球のフローサイトメトリー解析では、デングウイルス感染細胞は患者によって感染する細胞の種類に差のあることが明らかになった。デング出血熱の発症要因についてはウイルス側要因(強毒ウイルス説)と宿主要因(2次感染説)とが提唱され対立的に論じられてきた。しかし本研究の結果からはデングウイルス感染の重症化は先の2説のどちらか1つが正しいと言うような単純な物ではなく、宿主とウイルス双方の要因が関連すると考えるのが妥当であると思われた。デング出血熱の生理学的な実態は微細血管からの迅速な体液の漏出であり、ウイルスのどの蛋白質により、あるいは宿主のどのサイトカインによりこの急激な体液漏出が惹起されるかを突き止める事が今後必須である。さらに本研究において、地理的に異なるところで採取されたネッタイシマカがデングウイルスに対して異なる感受性を示すことが明らかになった。フィリピンで観察されたウイルスの入れ替わり(遺伝子型のシフト)は現地の蚊へ、より適合したウイルスが外部から導入された為に発生した可能性が高い。これらの結果から1950年代に発生したデング出血熱の拡大にはウイルスの変異が関与した可能性があり今後さらなる分子レベルでの解析が必要である。
すべて 2005 2004 2003 2002
すべて 雑誌論文 (24件)
American Journal of Tropical Medicine and Hygiene 73
ページ: 796-802
Clinical and Diagnostic Laboratory Immunology. 12
ページ: 1235-1237
Journal of Clinical Microbiology 43
ページ: 2895-2903
Am.J.Trop.Med.Hyg. Vol.73
Clinical and Diagnostic Laboratory Immunology. Vol.12
ページ: 435-440
J.Clin.Microbiol. Vol.43
Microbiol.Immunol. Vol.49
ページ: 285-294
Journal of General Virology. 85
ページ: 2503-2513
Clin Exp Immunol. Vol.138(2)
ページ: 299-303
Journal of General Virology. Vol.85
ページ: 1625-1631
J.Clin.Microbiol. Vol.42
ページ: 257-263
Medical Entomology and Zoology. 54
ページ: 73-80
Journal of Medical Primatology. 32
ページ: 89-94
J.Med.Virol. 71
ページ: 259-264
J.Med.Primatol. 32
Journal of Medical Entomology and Zoology 53
ページ: 21-27
Southeast Asian Journal of Tropical Medicine and Public Health. 33
ページ: 63-67
J.Gen.Virol. 83
ページ: 3075-3084
J.Med.Virol. 67
ページ: 370-374
Archives of Virology 147
ページ: 1105-1119