研究課題/領域番号 |
13576017
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
白川 卓 神戸大学, 医学部, 助教授 (30171044)
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研究分担者 |
小林 茂 大阪大学, 大学院・文学研究科, 教授 (30087150)
松尾 雅文 神戸大学, 医学部, 教授 (10157266)
西山 馨 神戸大学, 医学部, 教授 (00150061)
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キーワード | マラリア / G6PD欠損症 / α-サラセミア / 楕円赤血球症 / ヘモグロビン異常 / 遺伝子解析 |
研究概要 |
シンガポールの調査では新生児溶血性黄疸におけるG6PD欠損症の変異部位の同定を行い、85%の検体でエクソン部位に変異を認めた。変異が認められなかった検体についてはプロモーター領域をdHPLC等で検索したが、新たな変異は検出されなかった。ネパールではG6PD欠損症、αサラセミア、楕円赤血球症(SAO)およびヘモグロビン異常症に関して調査を行った。マラリア低汚染地域であるカトマンズ周辺の住民ではαサラセミアが22.5%、ヘモグロビン異常症が0.9%検出され、主要4民族の間でその頻度に有意差は認められなかった。一方、マラリア汚染地域と考えられるタライ平原の住民の調査でもαサラセミアの頻度が16.5%と低頻度あり、この地域においてマラリアが流行する背景となっていることが示された。マラリア高度汚染地域に居住する少数民族の調査ではαサラセミアの頻度が75%、G6PD欠損症の頻度が3.1%であり、マラリアに対して生物学的に適応していることが示された。これらのことからネパールにおいてはαサラセミアが主要なマラリア抵抗性遺伝性因子となっており、人口の大多数を占める主要4民族ではその頻度は低く、マラリア高度汚染地域に居住する少数民族では高頻度に蓄積されていることが明らかになった。マレーシアの調査ではG6PD欠損症およびSAOを中心に行った。G6PD欠損症の頻度は約3%で東南アジアの他の国とほぼ同じ頻度であり、変異部位はシンガポールのマレー人の頻度とほぼ同じであった。また、献血ドナーに認められる変異と新生児等で溶血性黄疸を発症した患者に認められる変異とは変異部位の出現頻度が異なっており、変異部位と発症との関係が示唆された。SAOの調査ではSAOの遺伝子異常を持つマレー人では81.8%が遠位尿細管性アシドーシス(dRTA)であったことからSAOがdRTAの発症に関与することが示された。
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