研究概要 |
1)タイ国北東部ならびに南部(マレー半島部)における稀少薬用植物調査 2003年5月(夏期)および同年12月(乾季)に、開発が全く行われていないタイ国北東部ロイ県山岳地帯ならびに同国半島部スラタニ県(マレー半島部)丘陵地帯、湿地帯において、稀少薬用植物に関する学術調査をそれぞれ行った。その結果、合計40種以上の薬用植物の自生を確認し、種の同定を行った。今回調査した地域にのみ認められる数種の稀少種については、開発の進んでいる地域周辺においては容易には認められないことから、絶滅が危惧される種と考えられた。また、いくつかの種に関しては現地の大学などにおいて、栽培や組織培養などによる種の保存も試みている。以下に代表的な属名を列記する。Croton, Litsea, Maytenus, Cyclea, Gonocaryum, Kleinhovia, Myriopteron, Uvaria, Phyllanthus, Roureopsis, Salacia, Salix. Aeginetia, Alangium, Bauhinia, Caesalpinia, Celastrus, Fagraea, Geophila, Homonoia属など 2)タイ産薬用植物標本鑑定 1980年以降の文部省海外学術調査等で収集され、本研究院に保存されている500点以上の未同定なタイ産植物標本(萩庭標本)について、それらの保存状況を確認し、一部については修復作業を施した後に、比較的保存状況が悪い標本から優先的に鑑定を行った。約150点の標本について鑑定を行った結果、約7割の標本についてそれらの学名が判明した。
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