本年度は、主に、時間の意味論と存在論に関する研究、コミュニケーション理論に関する研究、前提と信念に関する研究を行った。 平成15年4月には、京都科学哲学コロキアム4月例会において拙著『時間論の構築』(2003年1月出版)についての合評会が行われ、ここで、「『時間論の構築』が示したもの」と題した口頭発表を行った。また、6月には、日本認知科学会第20回大会において「前提の論理的規定と信念論理」と題したポスター発表を行い、この研究成果が大会論文集に掲載された。同じく6月に、科学基礎論学会大会において「四次元メレオロジーと存在論」と題した口頭発表を行い、この発表をまとめた論文が学術誌『科学基礎論研究』に掲載される予定である。さらに6月末には、京都科学哲学コロキアム6月例会において開催された伊勢田氏(名古屋大学助教授)の著書の合評会に参加し、「伊勢田哲治著『疑似科学と科学の哲学』へのコメント」と題した口頭発表を行い、討論した。7月には、北海道大学で開催された国際会議「First International Workshop on Language Understanding and Agents for Real World Interaction」に参加し、「共同行為における言語理解(Language Understanding in Joint Actions)」と題した英語の口頭発表を行った。この成果は、ワークショップ論文集に収録された。そして、11月には、第36回日本科学哲学会大会のシンポジウム「時間のメタフィジックス-マクタガートのパラドックスをめぐって」に提題者として参加し、「マクタガートの時間論の合理的再構成とその検討」と題した口頭発表を行い、他の提題者たちと討論を行った。 平成16年3月には、この3年間の全研究のうち「動的意味論とコミュニケーション理論の統合」という本研究の研究課題に関連するテーマに絞って統一的視点からこれらの研究を統合し、「研究成果報告書」を作成した。
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