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2003 年度 実績報告書

価値をめぐる真理と存在に関する実在論的考察の可能性と限界

研究課題

研究課題/領域番号 13610010
研究機関熊本大学

研究代表者

岡部 勉  熊本大学, 文学部, 教授 (50117339)

キーワード実在論 / 価値 / 理性 / 人間性 / 言語 / 形而上学 / 反自然主義 / P.Grice
研究概要

研究計画最終年度に当たる本年度は、先ず第一に、D.Wiggins等の認知主義的な実在論的価値論に代わる実在論的議論の可能性を晩年のP.Griceの価値論に見出し、B.WilliamsやD.Charles等の最新の議論との比較検討を通して、議論の輪郭をできるだけ具体的に提示することを日指した。
B.Williamsは最近、反実在論的立場から独自の真理論を展開し、価値をめぐる議論の新たな展開可能性を指し示した。また、D.Charlesは、技術論をモデルとして、Griceのそれとは異なる独自の実在論的価値論の可能性を追求している。Williamsは残念なことに昨年急死し、直接話を聞くことはできなくなったが、Charlesとの議論は本年度も継続された。彼らとの議論を通して得られた成果の一部は'Moral Reasoning and Deliberative Truth'と題する論文としてまとめられた。その日本語訳を他の論文とともに研究成果報告書に掲載する予定である。
第二には、P.Griceの後期価値論を前期意味論と照応させつつ、M.Dummettの意味論・真理論との比較検討を試みる予定であった。しかし、Griceの価値論の射程は、当初思ったよりもはるかに広大であり、結局この試みは、人間性と非相対的価値の出現と理性の位置づけをめぐる形而上学的考察へと重心を移動させることになった。この考察の成果の一部は「人間のコミュニケーション能力の基礎について-理性的存在である人間のコミュニケーション能力の基礎に関する形而上学的考察」と題する論文として公表された。
本研究は当初、D.Wigginsの認知主義的立場を批判する議論を軸に、Dummettの意味論・真理論との比較検討を通して、第三の道を模索することを企図していたが、D.Charlesの示唆によって、考察の重心はGriceの価値論の検討へと移し替えられた。これによって、第三の道の可能性はより明白なものとして見えてきたが、同時に、見えてきた道筋に従って、人間性と非相対的価値の出現と理性の位置づけをめぐる広大な形而上学的考察へと船出することになった。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 岡部 勉: "人間のコミュニケーション能力の基礎について-理性的存在である人間のコミュニケーション能力の基礎に関する形而上学的考察"文学部論叢. 80. 103-126 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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