研究課題
本年度の主たる研究目標は、ディグナーガとダルマキールティの言語哲学理論である「アポーハ論」について両者の見解の相違を明らかにすることにあったが、その成果の一部は東京で開催される国際宗教学会において、斉藤明教授(東京大学)が主催するアポーハ論に関するパネル(平成17年3月29日)で公表する予定である。これまでの本研究課題に関わる研究成果を発表するため、5月カナダのカルガリ大学で開催された国際シンポジウムで"Dharmakirtian Path to Liberation"を、8月津田塾大学で開催された第2回国際議論学会で"An Analysis of Dharmakirti's Proof of Existence of Other Minds"という研究発表を行った。10月には、ウィーンのオーストリア学士院を訪問し、シュタインケルナー教授・クラッサー助教授などから本研究のレビューを受けると同時に、今後のディグナーガ研究の重要な資料となるジネーンドラブッディの注釈の写本資料を入手した。11月より龍谷大学で定期的な研究会を開催し、ディグナーガの『集量論』第三章に対するジネーンドラブッディの注釈の解読を継続して行い、同書原典の批判的校訂を作成しつつある。当初予定していた『因明正理門論』の英訳は、この新資料を十分利用した上で、数年後に修正版を完成したいと考えている。1月には早稲田大学の岩田孝教授からレビューを受けると同時に、ダルマキールティ研究の最新の成果を教授していただいた。なお4年間の研究の総括として、過去4年間に発表した研究論文を中心に、研究成果報告書「仏教論理学・認識論の展開:ディグナーガからダルマキールティへ」を刊行する。
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長崎法潤博士記念論文集 (発表予定)
Path to Liberation, vol.II, ed.by Sengaku Mayeda (発表予定)
The Role of the Example in Classical Indian Logic Ed. by Katsura and Steinkellner.Wien
ページ: 135-173