1-(1)『ブリハドアーラニヤカ・ウパニシャッド』に対するスレーシュヴァラの著した『評釈』(ヴァールティカ)全訳作業のうち、第4章第4節(シャーリーラカ・ブラーフマナ)部分の英訳と分析をおこなった。その成果の一部は"Surexsvara's Vartika on Brhadaranyakopanisad 4.4[796-972]."(『岐阜薬科大学基礎教育系紀要』第14号pp.55-109 2002)として発表した。 (2)『評釈』4.4の分析の過程で、ウパニシャッドの句vijnaya prajnam kurvitaをめぐってスレーシュヴァラとバルトリプラパンチャの対論箇所があり、それを"Suresvara on vijnaya prajnam kurvita"(『仏教の修行法 阿部慈園博士追悼論集』春秋社pp.408-434 2003)として発表した。 2-『ブリハドアーラニヤカ・ウパニシャッド』に対する『註解』(バーシュヤ)の写本収集をおこなってきた。内外の地を探索したが、最終的に入手はできなかった。写本の発見によってバルトリプラパンチャ研究は飛躍的に進展すると期待されたが、これが不可能となった。これにより、来年度の研究成果報告は『評釈』を中心に行わざるを得なくなった。 3-(1)シャンカラの創始したヴェーダーンタ不二一元論学派はブラフマン一元論を説き、同様にシン・ブッディズムはアミダ一元論を説く。しかし生活態度としての現世拒否と現世肯定の違いのために、人格的絶対者の意義が大きく異なる。このことについて"Amida Buddha and Shinjin with a clue from Vedantic Thought"(『印度学仏教学研究』第51巻1号pp.508-512 2002)として発表した。
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