研究課題
基盤研究(C)
解脱を目指すことがインド哲学のライト・モチーフであるかぎり、アートマンの自己同一性を基底とするブラフマニカル・システムは、解脱という結果に対する原因としての哲学が自己同一性を持つアートマンにおいて成立しなければならない。性質(ダルマ)が変化しても、基体(ダルミン)は同一である。この基体は超越的時間論(カーラヴァーダ)であることが判明する。反アートマン主義に立つ佛教はこの自己自身(アートマン)の自己同一性を刹那滅によって解体するから、同一主体において解脱を達成できない、ということが反刹那滅論からの最大の攻撃になる。逆に、佛教によれば、自己同一性が持続するかぎり、解脱への転換は不可能である。刹那滅の自己消滅によってのみ、絶え間ない自己変換の最終瞬間において新しい解脱への瞬間が発現する。反刹那滅論はすべて概念構想としてのことばの指示対象の実在を認める実在論に基づいている。刹那滅論はその実体の2瞬間以上にわたる同一性を解体するのみならず、指示対象の自己同一性も刹那滅の自己差異性によって破壊することをねらっている。この意味で刹那滅論は反実在論である。基体の同一性の持続そのものを解体するのである。反刹那滅論と刹那滅論はそれぞれ実在論と反実在論という存在論・認識論に基礎づけられている。もし、刹那滅論がその自己の存在論・認識論の範囲のみで有効であるということになれば、反刹那滅論と刹那滅論はそれぞれの固有の存在論・認識論の内部でのみ成立するという認識論的サーキュラリティから脱することができなくなる。本研究の最終成果は「反実在論をとる刹那滅のみがこの認識論的サーキュラリティを脱することができる」ということにある。
すべて 2004 2003 2002 2001
すべて 雑誌論文 (16件) 図書 (4件)
印度学仏教学研究 52-1
ページ: 395-399
高知工業高等専門学校 学術紀要 49
ページ: 1-23
ページ: 25-46
Journal of Indian and Buddhist 52-1
Bulletin of Kochi National College of Technology 49
Philosophy of Continuity (Tayama Saito ed.)
ページ: 59-97
Collected papers of Indian Thought, (Prof.Mikogami's Volume)
ページ: 323-361
Three Mountains and Seven (Prof.Musashi Tachikaa's Volume)
ページ: 345-392
高知工業高等専門学校 学術紀要 48
ページ: 1-34
Bulletin of Kochi National College of Technology 48
仏教学セミナー 75
ページ: 38-70
Seminar of Buddhist study
Indo-Iranian Journal 44
ページ: 361-364
Indian Culture and Logic (Prof.Felicitation Volume)
ページ: 399-424