本研究の目的は、宗教的志向を有する現代人の動向と、そこで生じる宗教トラブルとの関係を実証的に解明することである。今年度の研究実績を整理すると次の点にまとめられる。 (1)本研究に関わる発表・情報収集の一環でアメリカ宗教社会学会(ASR、8月に米国アナハイムにて開催)と国際宗教社会学会(SISR、8月にメキシコにて開催)に出席するとともに国内学会(日本宗教学会、「宗教と社会」学会、南山宗教文化研究所懇話会・シンポジウム)で発表を行なった。 (2)基本資料の収集として、宗教情報リサーチセンターの利用をはじめ、いくつかのデータベースの活用によって、主要な宗教トラブルに関する瞥見を行い、宗教トラブルを引き起こす団体の掲げる主張と入信者の志向性をまとめ、次年度に作成するレポートの一部(400字×50枚)を完成させた。 (3)具体的な調査地として龍ヶ崎のオウム対策連合協議会との接触を持ち、インタビューを行った(上記の国際学会での発題は、その報告の一部である)。しかし、調査過程で被調査者より研究差し止めの要請を受けるなど、当該研究遂行上の懸案事項に直面し、その報告については上記の国内学会にて報告した。同時に内閉的な宗教活動を行うも宗教トラブルに至っていない宗教団体の聞き取り調査を行った。 以上の研究実績から、平成14年度において、より詳細な調査を行うとともに、宗教的志向性と宗教トラブルとの関係について研究成果を取りまとめていく。
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