• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2003 年度 研究成果報告書概要

初期プラトン哲学におけるソクラテス的探求の対話としての構造とその現代的意義

研究課題

研究課題/領域番号 13610039
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 倫理学
研究機関静岡大学

研究代表者

田中 伸司  静岡大学, 人文学部, 助教授 (50207099)

研究期間 (年度) 2001 – 2003
キーワードアポリア / 対話 / プラトン / ソクラテス / 徳 / 探求 / 同意 / 名指し
研究概要

本研究の目的はプラトンの初期対話篇を対象として、「対話」ということばによる探求の在りかたを解明し、その意義を明らかにすることにある。プラトンが描いた「対話」とはたんなる思考の痕跡ではなく、問う人と答える人(そしてその対話の場に臨む人)によって織りなされる運動である。そして、ソクラテスの対話による探求はいつもアポリア(隘路、行き詰まり、困難)に陥る。もしソクラテスの対話が論理的な論証を志向しているのであれば、それは探求の挫折であり、たんなる失敗と見なされる。しかし、ソクラテスの対話におけるアポリアはたんなる失敗ではなく、その探求の挫折のうちに汲みとられるべき何かがある。いや、むしろアポリアに陥ること自体をソクラテスの対話による探求の必須の局面として読み解くことができなければ、問う人と答える人によって織りなされる運動は何らかの教説へと還元され、ソクラテスはそうした教説の担い手と見なされてしまうことになる。というのも、ソクラテスとの対話が「神からの贈り物」(Apol.30d7-e1)であるのは、ソクラテスを受けとめることによってわたしたちがおのれの知の思いなしとその傲慢さから解放されるからである。すなわち、ソクラテスという贈与は何らかの教えをもたらすのではない。それはむしろ、わたしたちからさまざまな教説を剥奪することのうちに存しており、アポリアという局面においてまさに達成されるはずの営みなのである。本研究はソクラテスの探求がアポリアに陥ることの意義を対話の展開にそくして読み解き(研究報告書においては『ラケス』『プロタゴラス』『リュシス』『ゴルギアス』『国家第一巻』『メノン』を扱った)、このような「ソクラテス的探求の対話として構造」を明らかにした。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 田中 伸司: "『メノン』篇における探求の端緒-「よく」「正しく」という副詞が描きとるもの"哲学(北海道大学哲学会編). 37. 19-37 (2001)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 田中 伸司: "哲学の方法としての「臨床」と「対話」-「聴く」ことの力、医療現場に臨む哲学、対話のアポリア-"哲学(北海道大学哲学会編). 39. 19-40 (2003)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 田中 伸司: "他者を問うことをめぐって-古代ギリシャ哲学、とくにプラトンの対話篇から見えてくること-"文化と哲学(静岡大学哲学会編). 20. 51-66 (2003)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] TANAKA Shinji: "Arche of the Socratic Inquiry in Plato's Meno"TETSUGAKU(Annals of the Philosophical Society of Hokkaido University). 37. 19-37 (2001)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] TANAKA Shinji: "'Klinike' and 'Dialektike' as the Method of Philosophy"TETSUGAKU(Annals of the Philosophical Society of Hokkaido University). 39. 19-40 (2003)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] TANAKA Shinji: "On the Inquiry for Otherness : Still we can learn form the Greek philosophy, esp. Plato's Dialogues"Journal of Culture and Philosophy (edited by The Society of Philosophy of Shizu oka University). Vol.20. 51-66 (2003)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

URL: 

公開日: 2005-04-19  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi