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2002 年度 実績報告書

近代日本思想史におけるアイデンティティ問題の総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 13610044
研究機関岐阜大学

研究代表者

津田 雅夫  岐阜大学, 地域科学部, 教授 (10144099)

キーワード近代日本 / 思想史 / 国民文化 / 国民道徳 / アンデンティティ / 和辻哲郎
研究概要

近代日本の思想についてアイデンティティ問題を軸に探究する作業の第二年度として、大正期から昭和前期にかけての時期を中心にして問題状況を検討した。前年度に引き続き、京都学派の思想家を中心に、その言説をアイデンティティ問題の視角から分析を行ったが、今年度はとくに和辻哲郎に焦点を当てて取り組んだ。
和辻の倫理学が近代日本人のアイデンティティ問題という課題を蔵していることは明らかであると思われるが、そのことは単に表面的な国民道徳の強調において現れているだけでなく、その主張の核心部分を構成していることのうちに窺える。すなわち体系構築の礎石であるだけでなく、和辻自身の思想形成のうちに深く根ざした要因であることにある。このことを明らかにするために、とくに主著の一つ『風土』の成立過程をその草稿(和辻文庫、国会図書館所蔵)に当たって調べた。『風土』は一般には風土論の視角からの比較文明論の著作として、その鮮やかな類型の提示が評価されている。しかし、和辻がいったいどうしてこのような著作を著したのかについては、『風土』のテキストからだけでは読み取れない。草稿に即して辿っていくとき、この著作の原型とその本来の意図が明瞭に浮かび上がってくる。それがまさに近代日本人のアイデンティティ問題であり、和辻が人間を風土において受肉した存在者として捉えるなかで、この課題に答えようとしたことが解明された。さらにこの問題の射程が、たんに和辻だけでなく、当時の思想家のうちに深く及んでいるを、『風土』をめぐる論争は示している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 津田雅夫: "『風土』の草稿について"岐阜大学地域科学部研究報告. 第12号. 201-216 (2003)

  • [文献書誌] 津田雅夫: "三木清と近代文化-アイデンティティの思想史・覚書"共同探求通信19. 第19号. 18-29 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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