研究概要 |
メニュレ・ド・シャンボー、ボルドウ、ラカーズ、フーケなど、18世紀後半のモンペリエ学派の生気論者の生命観を引き続き考察した。昨年からの研究の延長線上で、cd-rom化された電子版『百科全書』を用い、その検索機能を利用しながら、『百科全書』のすべての項目で、organisation, economie animaleなどがいかなる意味で用いられているか、そこにどのような傾向や変化を読み取れるかを考察した。 寄稿者には生気論者以外の人々もいるが、後半の巻になると生気論者の存在感が増すこと、その過程で生物の構造を代表する概念であるorganisationと機能を代表する概念であるeconomie animaleを構造機能論的に連関させる方向性が強まること、「ミツバチの群れ」の比喩に象徴されるような、構造連関に依拠した「諸生命の生命」という、創発論に直結する生命観が提起されること、ディドロが後に『ダランベールの夢』で展開する生命観はこうした生気論者の生命観を継承するものであることなどを明らかにした。 そして、それらの成果を、2003年8月の国際18世紀学芸(アメリカ・ロサンゼルス)のラウンド・テーブル「科学と啓蒙」で、L'organisation et l'economie animale dans I'Encyclopedie : comment se fait le changement de terrain des sciences de la vie chez lesencyclopedistes?と題して報告するとともに、同年10月の精神医学史学会(日本・名古屋)のシンポジウム「生命の科学史、精神の医学史」で、「生気論と生物学の成立による生命の『科学』化」と題して発表した。 その後、生気論社の『百科全書』項目以外の著作の検討を進めるとともに、2004年2-3月にはフランスで資料収集と情報交換を行うことができた。
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