研究課題/領域番号 |
13610047
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
遠藤 寿一 岩手医科大学, 教養部, 助教授 (00201963)
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研究分担者 |
日暮 雅夫 盛岡大学, 文学部, 助教授 (70222239)
水野 邦彦 北海学園大学, 経済学部, 教授 (90305897)
加藤 泰史 南山大学, 外国語学部, 教授 (90183780)
平田 一郎 関西学国語大学, 短期大学部, 助教授 (60280046)
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キーワード | カント哲学 / 風土 / 民族経済論 / 李承晩 / 民主的法治国家 / 討議理論 / 最小国家 / 承認 |
研究概要 |
本年度、研究分担者はそれぞれ、国家という観点を取り入れながら、諸文化間の対話の可能性について考察し、以下のような研究を行った。 1.遠藤:異文化交流・理解のあるべき姿を論じるための布石として、9.11同時多発テロ事件を契機に顕在化した、西欧とイスラム諸国の間の文化的・政治的なねじれ関係をとりあげ、その構造がどのようなものかを明らかにしようとした。 2.カント哲学を「対話の論理」のコンテクストに置き直し、その議論から自己相対化の論理を析出して、これをマルチカルチュラリズムの観点から、和辻哲郎の「風土論」に適用し、和辻を再解釈する可能性を示した。 3.儒教的伝統と合理的近代という一見不調和な要素が混交する現代韓国の社会意識を分析し、韓国文化の近代化における歪みを検証した。また韓国民族主義の文化論的特質を考察し、しばしば反日主義と目される民族主義の実質を、民族経済論的な観点から解明することの重要性を指摘した。 4.民主的法治国家の理念を、現実との緊張関係において再構築しようとしたハーバーマスの『事実性と妥当』の議論を支えていたのは、国家の正当性も、歪められないコミュニケーション状況の中での人々の合意にのみ基づくとする、討議理論的アプローチであったことを明らかにした。 5.「ユートピアの枠組みとしての最小国家」というノージックの議論に着目し、「承認」やアイデンティティを巡る問題について、この議論が重要な意味を持つことを論じた。その一方で、ノージックの議論のローカル性を指摘し、日本人の立場から国家と個人の関係について論じる別の可能性があることを示唆した。 (50字×16行)
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