研究概要 |
本研究は、早稲田大学図書館蔵「教林文庫」蔵書の悉皆調査によって、「教林文庫」の蔵書形成の過程を明らかにし、新たな目録を作成するとともに、併せ文庫の個別の蔵書についても、研究することを目的とする。調査にあたっては、「教林文庫」の形成に大きくかかわった、江戸時代の天台僧、厳覚・覚深の手沢本がどの程度含まれているか個別調査し、一覧できるようにしたことも、特色の一つである。 平成13年度から平成15年度にかけて、早稲田大学図書館特別資料室において、「教林文庫」の調査を計10回、約30日間にわたり実施した。また、叡山文庫など他文庫の調査を数回、文庫の旧所蔵者である滋賀県の観音正寺塔頭教林坊の実地踏査を1回実施した。 調査にあたっては、「教林文庫」の個別書誌を、補助者とともに取り、約1,100点の図書について、カードに書誌を記緑した。また、そのデータをエクセルにすべて入力した。項目は、[教林文庫通番・枝書・刊年・書名・その他題・装丁・数量・法量・刊写年時・西暦・厳覚・覚深・所蔵者署名・印記・旧分類朱・旧分類墨・序跋・刊記・奥書・備考]からなる、詳細なものである。また、カード化した全図書の、表紙・内題・奥書・蔵書印をデジタルカメラで撮影した。総数は約9,000枚となり、約5GBの巨大データとなった。 エクセルのデータを縮小印刷した、約160頁からなる詳細な目録と、印記集を、研究報告書として提出する。デジタル撮影した書彰は、書籍の形で公刊することは不可能のため、インターネット上で、データベースとして公開することを検討している。
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