研究課題/領域番号 |
13610051
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
大越 愛子 近畿大学, 文芸学部, 教授 (00223777)
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研究分担者 |
白水 士郎 近畿大学, 文芸学部, 講師 (10319759)
岡野 治子 広島大学, 文学部, 教授 (50204003)
井桁 碧 筑波女子大学, 国際学部, 助教授 (40306105)
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キーワード | ジェンダー / フェミニズム / セクシュアリティ / 暴力 / 優性思想 / 軍隊 / 性と生殖に関する権利 / 差別 |
研究概要 |
科学研究費補助金にもとづく当共同研究(「近代日本の共同体思想をジェンダーから解明する」)では、2年目に当たる今年は、近代日本の共同体思想に内包されている他者排除・差別思想の内実と現代におけるその含意をさらに明らかにすべく、以下の三回の公開研究会を開催することが中心となった。そこで特筆すべき点は、内二回の研究会で韓国の複数の研究者と共同研究を行った点である。そのことにより日本の思想と状況を異化し、相対化する視点がいっそう明確になったものと総括している。 第一回目の研究会(6/16、於追手門大学:「女性・戦争・人権」学会との共催)では、韓国の「女性と戦争・人権」センターの研究員である李ソンスン、ヤン・ヒョナらを迎えて、シンポジウム「フェミニズムとコロニアリズム」等を行った。そこで大きな収穫となったのは、韓国においても日韓併合以降、家制度を規定した明治民法が導入されており、戦後の日本で民法改正がなされた以降にもその制度は存続し、女性たちの桎梏となっている現状の理解である。 第二回目の研究会(9/29、於近畿大学)では、今度は現代日本の差別問題に焦点を当てて、熊本理抄(本学人権問題研究所)に「複合差別」について、井桁碧(研究分担者)に「民族差別と部落差別」について発表をしてもらい、活発な討論を行った。 第三回目(2/21、於沖縄県総合女性センター)では、「国家・ジェンダー・暴力」という総合テーマの下に、金成禮(韓国・西江大学)に済州島の四・三事件における軍隊と暴力の問題について、秋林こずえ(日本女子大)に沖縄における軍事主義とフェミニズムについて発表を依頼した。研究会の主旨に関連して沖縄の戦跡や米軍基地周辺の視察・見学を行い、また軍隊暴力が女性たちに及ぼす被害、特に性被害について学ぶべく、現地の女性研究者グループとの討議・交流の場を持った。 以上の研究の成果は随時、別記の論文等の形で発表されたが、広く東アジアの視点から日本的共同体思想の問題点を解明する予定である次年度の研究に、さらにつながって行くであろう。
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