研究課題
京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター開設以来、4年の間に寄贈・寄託を受けたり、僅かではあるが購入して所蔵することになった楽器資料は、細々とした付帯内容も含めて200数十点になる。常温常湿の楽器庫にて保管しているが、現段階においてその目録、図録に相当する内容を電子化したデータ(媒体はCD-ROM)も含めて整理した。基本データである形態、法量、伝来の経緯などは各収蔵品について測定・調査により可能な限り入力していったが、研究代表者が関心を寄せている石笛については、貫通孔、非貫通孔などの形状分類だけでなく、音響的見地からの分類、ピッチ測定(超音波領域に相当する分析は、まだ十分ではないが)も実施した。また、浜松市楽器博物館とは、紙腔琴(日本で工夫した近代の自動演奏楽器)の共同調査をして、新しい知見を得た。15年度の伝統音楽研究センターの委託研究「音楽図像目録・描き起こし図録のデータベース化作業」で縁が深まった国立音楽大学楽器学資料館からの協力を仰ぎ、今後は登録データをオンライン公開して、教育目的などにも活用できる方向性を検討中である。16年度以降に実施予定の日本伝統音楽研究センター所蔵資料(文献や視聴覚資料なども横断検索可能な)オンラインデータ公開時には、この研究成果について、およびそれを足がかりにしてさらに発展させた内容を盛り込んでいくことになるであろう。