本年度は、選択と意思決定に関する過去研究についての文献資料収集、及び、被験者の経済状態と性格要因が報酬の価値割引率に及ぼす効果に関する予備的実験の2つが主に行われた。前者の文献資料収集の目的は、報酬の価値割引に影響を及ぼす心理学的要因としてどのようなものが考えられるか、および、それらの心理的要因の指標となり得る心理測定尺度としてはどのようなものが開発されているかを調査することであった。一連の文献資料収集の結果、楽観尺度等のいくつかの心理尺度が価値割引の個人差を説明する上で適切であることが示された。一方、報酬の価値割引についての実験用及びデータ処理用のコンピュータが導入され、実験及びデータ処理用プログラムが開発された。これらのプログラムは主にVisual Basicを用いて開発され、これらを用いて経済状態が報酬の価値割引に大きな影響を及ぼすかどうかを探索する簡単な実験が行われた。その結果、経済状態とは必ずしも関連が見られないことが示された。
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