研究概要 |
昨年は子どもの面接法のガイドライン案を作成した。本年度の目的は,(1)ガイドラインをより実用的な形にするために,チェックリストを作成することと,(2)そのチェックリストを評価することであった。 (1)チェックリストの作成:チェックリストは二種類作成した。第一は面接者の面接技法を評価するための「面接者の面接技法チェックリスト」,第二は面接によって得られた子どもの応答を評価するための「子どもの応答チェックリスト」である。前者は,子どもへの面接のガイドラインである「良き実務のためのメモ(MOGP)(英国内務省,1992),質問の分かりにくさの指標である「法律家言葉」(Walker,1993;仲,2001)等をもとに16項目作成した。後者は,供述の信頼性を検討するために開発された「基準にもとづく内容分析法(CBCA)」(Ruby & Ruby & Brigham,1998),体験に基づく記憶とイメージに基づく記憶の分離を目指す「記憶の査定手続き(MAP)」(Porter, Yuille, & Lehman,1999)等をもとに39項目作成した。 (2)チェックリストの評価:仲(2001)は子どもへの尋問の事例分析を行い,(この事例における)主尋問にはシンプルなオープン質問が多く,子どもはこれらの質問に文で答えることが多いこと,反対尋問には埋め込みの多いマルチ質問や誘導質問が多く,子どもはこれらの質問に「はい」や沈黙で答えることが多いことを示した。この尋問を素材としてモック裁判を作成し,これを材料としてチェックリストの妥当性を検討した。方法は,大学生・大学院生11名に材料を聴覚提示し,質問と応答の特徴をそれぞれチェックリストで評定してもらうというものであった。その結果,質問や応答の特徴は相対的によく把握されていること,しかし評定値の方が極端な値を取りやすいこと(例えばマルチ質問の生起率は20,%だが,これが40%生起しているように評定される等)が示された。 来年度は,材料のバリエーションを増やし,参加者の人数も増やしてチェックリストの精選を試みる。
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