研究課題/領域番号 |
13610096
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
竹下 秀子 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教授 (90179630)
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研究分担者 |
高谷 理恵子 福島大学, 教育学部, 助教授 (90322007)
多賀 厳太郎 東京大学, 大学院・教育学研究科, 講師
小西 行郎 東京女子医科大学, 乳児行動発達学講座, 教授 (40135588)
板倉 昭二 京都大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (50211735)
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キーワード | 大型類人猿 / チンパンジー / 運動発達 / 自発運動 / ジェネラルムーブメント / 姿勢反応 / 新生児微笑 / eye to eye contact |
研究概要 |
本年度は、ヒトとチンパンジーを対象として、新生児期からの姿勢運動発達を、ジェネラルムーブメント(自発運動)、姿勢反応などによって評価し、それらと母子間の姿勢運動的相互交渉(母親の抱きと乳児のしがみつきなどの姿勢運動的相互関係)、対象操作的相互交渉(物体をとりいれたときの身体運動的相互関係)、および対面的相互交渉(表情や発声による相互関係)との関連を明らかにするための基礎資料を収集した。ヒトとチンパンジーとは、新生児期から乳児期初期に仰向けの姿勢をとることができ、自発的な四肢の運動を行うという点で類似している。しかし、ジェネラルムーブメントのパターンに関して、これまでの解析の結果、ヒトでは足が手より単純な動きをするが、チンパンジーでは手と足の運動の複雑さに差がないという違いのあることがわかった。すなわち、線形相関をもったノイズとは区別されるが、週数に応じた変化に共通した傾向は見られず、ヒトのような一時的なパターンの単純化も見られなかった。ジェネラルムーブメントにみられる発達のU字化現象や手足運動の発達初期からの分化はヒト特有であることが示唆された。他方、チンパンジー母子の初期相互交渉場面の分析からは、新生児微笑から社会的微笑への発達的変化がヒトと同様に見られること、これまで考えられていた以上に、eye-to-eye contactが生起していること、さらに、授乳、グルーミング以外に育児行動的な諸々の動作パターンのあることがわかった。
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