今年度は、オペラント行動の微視的分析を、以下の5つの場面について展開した。1.遅延見本合わせ課題における遅延および試行間間隔の効果、2.並立FI RIスケジュールにおける強化潜時の効果、3.変化抵抗研究における反応間時間の変化、4.タッピング場面における反応間時間の制御、5.VIとVRスケジュールにおける反応間時間の点過程分析。以下に得られた結果をまとめる。 1.yes-no型遅延見本合わせ課題において、試行間間隔(ITI)が長くなると弁別感度d'は上昇した。ITIが長くなると選択反応として求められるFRスケジュールの完了時間が長くなるという結果が得られた。2.選択場面におけるハトの反応が直前の強化潜時の長さやタイムマーカーの種類に制御されることがわかった。3.反応連続という測度を用いて変化抵抗を検討したところ、異なる反応減少操作間の変化抵抗はほぼ等しく、反応減少操作間で質的な差異はなかった。4.時系列分析対象としてのタッピング行動について研究を進めてきたが、リズム音刺激の間隔(ISI)がランダム・周期的に揺動したときに、弁別閾付近でのISI揺動に対応したタッピング反応間時間(IRT)の追随・周期的変動をみた。5.強化率の等しいVRとVIスケジユールにおける反応率の違いを、時間構造の分布についての解析が可能な点過程法を用いて検討し、結果として他の分析法では明らかにされていない両スケジュールに共通な短い連続反応の存在可能性を示した。
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