研究課題/領域番号 |
13610105
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
尾上 浩隆 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 主任研究員 (80214196)
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研究分担者 |
横山 ちひろ 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 所長研究部, 研究員 (90264754)
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キーワード | 視覚弁別学習 / 条件性 / 学習の構え / PET / サル / 脳機能イメージング / 前頭連合野 / 傍嗅皮質 |
研究概要 |
二者択一的な視覚性同時弁別課題は、ヒトにおいては認知課題のひとつであるが、サルにおいては試行錯誤的な方略によって解決される手続き学習課題とされている。一方、最近Murrayらは、視覚刺激が眼球や上肢のある特定方向への運動に結びついた条件性視覚運動学習課題がサルの陳述的学習のモデルである可能性を示した。この理由の一つとして、サルの脳局所破壊実験において、前者が大脳基底核を中心とした神経領域の破壊の影響を受けるのに対し、後者はむしろ前頭葉や海馬の破壊によって機能障害が起こることがあげられる。しかし、破壊実験では学習課程に関わる神経ネットワークの時系列変化をとらえることはできず、したがって、この両者の学習に関わる神経ネットワークが本質的に独立したものであるか、それとも互いに協調して存在しているのかについては定かではない。今回我々は、PET(ポジトロンエミッショントモグラフィ)を用いた脳機能イメージング法により、学習過程における神経ネットワークの同定するために、まず、サルに新規の二者択一視覚性同時弁別課題を数10から100課題程度経験させた。その結果、新規課題の経験数の増加に伴い、問題解決までの試行数が減少するとともに、解決初期の反応時間が有意に増加するといった行動上の変化が認められた(学習の構えの獲得)。さらに、これと平行して行った脳機能イメージングにより、サルの脳では、新規課題の経験の増加に伴い、より高次な脳領域(例えば、前頭連合野や傍嗅皮質)の活動が高まることが明らかになった。
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