平成13年度においては、まず第1に、地域における不登校・不登校傾向を中心とした学校不適応行動について、市内中学校数校において調査を実施し、現状を把握することを行った。その結果、不登校願望を含めた不登校傾向をもつ生徒が決して少ないといえない程度存在していることが明らかとなった。また、これらの不登校傾向に影響を及ぼす要因として、生徒本人の特性不安の高さの要因と享受することができると感じられているソーシャル・サポートの要因が相互作用を持ち、関係していることが示された。 第2に、上述のネガディブ要因だけでなく、登校願望を促進するような学校の魅力についても調査を行った。その結果、男子生徒に比べて女子生徒の方が友人関係等の人間関係に楽しさ、魅力を感じている一方で、人間関係の維持・改善にコストをかけており、それが心理的・精神的苦痛の一因ともなっていることが示された。また、一旦対人関係がこじれると心理的にダメージを被るのも女子学生に多く見られる傾向であることも示唆された。 第3に、へき地・小規模校における不登校経験(前就学校における)児童に対するアプローチを調査・分析することで、へき地・小規模校の方が一般の規模の学校におけるよりも児童・生徒が自分自身の心の居場所を確保することが比較的容易と考えられることが示唆された。また、全国、全道の小・中学校における不登校の発生率と上川管内のへき地・小規模校における不登校の発生率を比較調査し、へき地・小規模校における不登校の発生率が有意に低いことが確認された。 第4に、地域における中学校のスクールカウンセラー活動の視点から、地域におけるスクールカウンセラーの現状と課題について調査を行った。その結果をまとめて学校における教育相談・生徒指導の担当部署、学級担任、養護教諭との有効な連携について、さらには学校教育心理臨床に求められる知識、具体的技法についての提言を行った。
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