学校不適応に陥っている児童生徒、その保護者に対して解決志向アプローチを主軸とする心理面接を用いて援助を行い、特に非行・怠学などのいわゆる反社会的行動に分類される学校不適応の状態にある児童生徒自身に対して、および学校不適応の状態にある児童生徒をもつ保護者に対してその高い有効性を確認した。またこれらの学校不適応に対する地域における支援の受け皿づくりのひとつとして、この解決志向アプローチによる面接技法の効果的な進め方について研究会を開催し、ビデオ録画をもとに面接場面を詳細に分析した。 不登校、ひきこもりなどのいわゆる非社会的行動に分類される児童生徒及びその予備軍には、対人関係上の困難を経験している者が大多数を占めていることから、解決志向アプローチなどによる心理面接のほかに具体的な対人スキルを学習することや段階的な対人交流場面を経験することが必要とされる場合が多い。このような機会を提供できるひとつとして構成的グループ・エンカウンターを学校教育場面において実施し、人間関係尺度やQ-Uテストを用いてその効果を測定し、特に対人関係があまり得意でない児童に対してもその改善に有効であることが示唆された。 さらに、不登校・ひきこもり、いじめ、非行・怠学といった学校不適応には、まだ教育現場において十分に認識されていない軽度の発達障害が密接に関連しているケースも少なくないことも見えてきた。この現行の障害の枠組みからははずれてしまっているいわゆるグレーゾーンの児童生徒、そして障害は抱えていないが様々なきっかけで学校不適応に陥っている児童生徒、もしくは学校に魅力を見出せないでいる児童生徒といった、いわゆるホワイト・グレーゾーンの児童生徒に対するケアも「個別支援ニーズを抱えた子どちたち」という観点から地域における具体的支援体制づくりを構築していく必要性が浮き彫りとなり、その体制づくりにも着手を始めた。
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