研究概要 |
本研究の対象地域、宮城県黒川郡大和町(人口2万4千人)において、1)前年度行なわれた育児資源調査結果をまとめた(家庭教育研究所紀要)。乳幼児をもつ母親にとっては資源認知も活用も十分ではないという結果を受け、同町は資源周知活用向上を目的とした育児マップを作成し、育児中の親に無料で配布中である。2)同町の「子育て相談教室」を焦点化し、平成11年4月〜13年3月の3年間の全利用者データを分類整理した。参加児には性差がなく月齢的にも乳幼児全般に及び、内容的にも多様な相談ニーズの高さが窺われ、既存の健診事業を補う相談の重要性が示された(小児保健学会第49回大会)。3)同教室の利用者全員を対象に、利用しやすさ、利用行動、相談後の社会的行動等に関する質問紙調査を行なった。その結果、「利用しやすさ」は各領域で概ね高得点であったが、「開催日」「開催時間」「参加者の雰囲気」が他と比べて低い傾向にあった。自由記述と併せて検討すると、土曜開催の要望、幼稚園の見送りや家事の時間との都合、既に仲の良いグループがあると入りにくいなどの声が反映されたと思われる。利用行動項目からは「知識・情報としての利用」「居場所としての利用」の2因子が抽出され、「知識・情報としての利用」の高低にかかわらず、「居場所としての利用」の高低が利用満足感に反映される傾向が認められた。本結果を受け、フロアに保健推進員が入る、保育士による遊び紹介の時間を設けるなど、場の緊張を和らげて「利用しやすさ」を高めるためのマイルドな介入を試行し始めている。また利用行動の高さは利用満足感を高めるだけでなく、利用後の身近な人たちへの社会的行動にも関わっていることが示された(日本発達心理学会第14大会)。4)同相談教室を利用していない母親への質問紙調査を乳幼児健診(3,4ヶ月、1歳半、3歳半)時に行い、本年度10ヶ月間で利用者調査と同等数を回収した(分析検討は次年度)。
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