研究概要 |
幼児期から小学校高学年までの発達障害児(知的障害,自閉性障害,学習障害,注意欠陥多動障害,脳損傷)を対象に、コンピュータを用いて、リテラシーの基礎である「刺激・反応等価性」の評価を系統的に実施した。特定の見本刺激(音声,絵)を提示し、対応する文字または単語を選択する課題、文字を並べて単語を構成する課題(構成見本合わせ手続き)を用いて評価をおこなった。また,コンピュータ上で「選択反応」あるいは「構成反応」として獲得された「刺激・反応等価性」が、音声表出、書字などの「分化反応」が要求される場面でも生起するかを評価し,それが促進されるための指導条件を明らかにした。評価の結果、(1)見本合わせそのものに困難を示すグループ,(2)ひらがな単語と文字に困難を示すグループ,(3)漢字の読みと書きに困難を示すグループにわかれることがわかった。第1のグループについては,選択刺激の負刺激の濃さを徐々濃くしていく刺激フェイドイン手続きが効果を持つことが示された。第2のグループについては,絵に対してひらがな単語を選択する課題完成後に,文字をひとつづつ順番に選択する指導,およびそれぞれの選択反応に対して音声刺激を随伴させる指導を行うことで単語構成ならびに読みが成立することがわかった。音声反応が困難な子どもについては,音声模倣指導を実施することで,直接の指導がなくても読みや聞き取り理解の獲得が促進された。第3のグループに関しては,絵を見本刺激として漢字を選択させそれに音声を随伴させることで,漢字の読みと理解が可能になった。書字については,画数の少ない漢字に関してはなぞり書きから視写に移行する無誤学習プログラムが有効であり,画数の多い漢字に関しては漢字の構成要素を抽出しそれぞれについて命名してから書く指導が有効であった。
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