研究課題
基盤研究(C)
発達障害をもつ子どもたち(知的障害児、学習障害児、注意欠陥多動児、自閉症児)は、「読む」、「書く」、「聞き取る」、「表現する」などの言語機能や、「注意する」、「推論する」、「理解する」などの認知機能に広い範囲での困難をもっている。これまで発達障害児の認知・言語の評価や指導はそれぞれの心的機能について個別的に研究されてきた。これに対して本研究では、認知・言語機能の獲得の中心には、「実際の画像」、「文字・単語・文」、「音声刺激」、「音声反応」、「書字反応」の刺激・反応機能が統合されていく「刺激・反応等価性」のプロセスがあると考え、それがいかに成立し、拡張していくかを明らかにすることを目的とした。近年、コンピュータによる支援教育(computer-assisted instruction)が、子どもたちの学習への動機づけを高め、学習による達成感を強くもたらし、学習効果を最大限にする効果があることを示す実証的研究の成果が報告されるようになってきた。注意・認知・言語などに広範囲の障害をもつ発達障害児に対して、コンピュータを用いた学習支援プログラムを開発し、カリキュラムを構成した。それにもとづいて、集中指導を実施し、「刺激・反応等価性」が成立し拡張し、統合される条件を明らかにした。特に、コンピュータ上の「文字」、「単語」、「画像」などへの選択反応によって形成された刺激等価性が、「音声」や「書字」などの分化反応が要求される学習場面にまで転移するかを明らかにすることで、指導成果の教育場面への応用可能性を検討した。運動反応系そのものを安定して出現させるための集中指導を別途実施することで、音声や書字なども選択反応と等価な反応として確立されると考えられる。また、開発された「刺激・反応等価性」プログラムが、実際の教育現場での発達障害児の認知・言語の指導にどのように用いられるかについて、学校の先生との共同研究を実施し、その有効性の評価を行った。
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