本研究では、判断と意思決定の状況依存性を、さまざまレベルの社会的判断や意思決定現象にわたって、種々の心理実験と社会調査を通じて解明し、さらに、この社会的な状況依存性を理論的観点から説明し、予測可能な心理計量モデルの作成、その数理モデルの作成、そして、このモデルの社会政策への応用を行うための理論的視座と実際の適用および政策的提言を行うための研究を行った。より具体的に述べると、まず、第1の研究では、判断と意思決定の状況依存性が生じるのは、どのような社会環境なのかを調査と実験で明らかにした。分析では、社会的環境における状況要因の探索と多変量解析を行った。第2の研究では、状況依存的な判断と意思決定において、どのような定性的性質と定量的性質があるのかを、実験と社会的調査によって明らかにし、その結果を多変量解析した。第3の研究では、状況に依存する判断と意思決定において、どのような心理的プロセスが生じるのかを実験と社会的調査によって明らかにした。第4の研究では、これらの実験の知見をもとに、社会的環境における判断と意思決定の状況依存性を説明する心理計量モデルと数理モデルを作成し、状況依存性の記述的理論を提出した。これらの研究結果は、国内外の学会、セミナーで発表し、研究者との活発な議論を行っている。
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