本研究は、役割取得能力の向上を意図した教育プログラムであるVLF(Voices of Love and Freedom)を展開する実践校を増やし、適切な教材やアセスメントの開発と、VLFプログラムの実践をさらに充実させることを目的とした。幼児対象に、日本と韓国でも実施した。日本では、従来5歳児以上について実施され、効果が認められたが、本研究では3歳児以上を対象にして実施した。その際、同年齢の場合(3歳児クラス、5最児クラス)と異年齢の場合(3歳児と5歳児の混合)を比較した。教材は絵本をパネルシアターにして呈示し、登場人物の動きや特徴を顕著にするよう工夫した。韓国においては、2つの幼稚園を対象に1つを統制群としてVLFプログラムの効果を比較検討した。教材は絵本が用いられ、プログラムの回数は4回実施された。アセスメントについては、社会的スキルや役割取得能力、共感牲の調査をいずれも実施した。日本においても韓国においても、教材に対する態度は非常に積極的であり、3歳児を対象にしても教材をもとにしたロールプレイが可能であることが明らかにされた。ただし、必ずしもプリテストからポストテストからのアセスメントは有意な向上が認められなかったことから、短期的な実践ではなく、年間を通した検討が必要であることが示唆された。小学生を対象にも、小学校1年生から6年生まですべての学年で実施され、新たな教材が開発された。結果として、子どもの発達段階をおさえた授業か可能になり、ロールプレイなどの体験活動の取入れから発達段階を向上させることができたことや道徳的実践力を培うことができた。さらには、中学生を対象に、ソーシャルスキルトレーニングが実施されたが、具体的な行動力や認知レベルの向上によって、社会的スキルの獲得および、行動がうまくできたことによる自尊心の向上について有効であることが明らかとなった。
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