研究概要 |
大卒8年後のキャリア発達を時間的展望の再編成に注目して明らかにするために,教員養成課程を卒業した30人に大学卒業8年目に面接調査と質問紙調査を実施しした。その際,研究への承諾を求め,了解を得たかたのみを対象とした。測定内容は,卒業後の進路と職場の状況・職務満足・大学生活と職業探索行動・職場適応に関する回想,ライフ・プランニングの測定,時間的展望とアイデンティティの測定,VPI職業興味検査を実施した。 その結果,第1に,大卒者のキャリア形成の過程は,大学卒業時に希望していたキャリア目標を軸に,職業や職場との適合感や満足感を手がかりに,その後の結婚などの人生課題と取り組みつつ,ライフ・スタイルとライフ・プランを創造していく過程であると考えられた。第2に,成人化渦程という観点からすると,20代後半から30代にかけては,個人主義的な自立から協同的な自立へと変化していく時期であると考えられた。第3に,支援の内容として,力量の向上へのサポート,多忙化への対処や自律性の確保,再就職の心配の除去,結婚に対する社会的支援,現実的なライフコースを事前に教えることなどがあげられた。 今後の課題としては,結婚・出産・子育てといった家族形成課題との関連を検討するために縦断研究を継続すること,自分の20代を振り返って過去をどのように意味づけ,自己の物語をつくっているのかの検討があげられた。
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