研究概要 |
平成15年度の研究成果 1.受賞 本研究の一部を反映して分担執筆した共著『はじめて学ぶ日本の絵本史III-戦後絵本の歩みと展望』(2002/ミネルヴァ書房/鳥越信編著)は,「第24回日本出版学会賞奨励賞」(2003年5月)と「第27回日本児童文学学会特別賞」(2003年10月)を受賞した. 2.海外における研究著作の出版 この一連の研究をまとめた筆者の単著『絵本の心理学-子どもの心を理解するたに』(2000/新曜社)は,韓日児童文学研究会の研究者により韓国において翻訳出版されることが決まった. 3.本年度は「赤ちゃん(0.1.2歳児)と絵本」についての調査研究を中心に行った. まず,北海道・埼玉県・佐賀県で対象者264名から,(1)赤ちゃんと絵本の出会いの時期,(2)赤ちゃんがどのような絵本を好みそれをどのように見たか,(3)読み手であるおとなはその時どのようにして乳幼児の発達に気づき,乳幼児理解はどのように促進されたかを中心に,院生とともにアンケート調査を行った.そのような一次調査(札幌市/195名)のなかからとくにすぐれた回答者を15名選抜し,札幌市において2日間にわたり詳しい聞き取りの追跡調査を行った. 聞き取りの結果,(1)絵本が家族の絆を深めたケース,(2)保護者の乳幼児理解に深い影響を与えたケース,(3)乳幼児が絵本をとおして豊かな知的・情緒的発達,人間理解を獲得したケースなどの視点から,極めて優れた質を保有する5ケースを抽出しさらなる追跡を行うことにしている. この調査結果などを中心にまとめた研究成果は,新曜社より「赤ちゃんと絵本」(仮題)として出版する予定である. その他,新刊絵本の購入による「絵本データベース」の更新も行った.
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